2005年04月10日
異文化理解
日本語教員養成課程の柱が[異文化理解]だということを理解するまでもなく、その大切さは誰でもわかります。また、「ことばと文化」が切り離せないということも日本語を教えている者ならすぐわかります。
OJCでも、日本の習慣を教えたり、入門者には挨拶を先ず教えたりします。
入門者に挨拶を教えるときどんなことに注意したらよいか、OJCの授業を通して感じたことを紹介します。
OJCでは、媒介言語は使わずに、日本語だけで教えるのが基本です。そのためにティームティ-チングで、初対面の挨拶、自己紹介などの会話を練習します。それから、「書いてください」「読んでください」
「もう1度いってください」「ゆっくりいってください」などを実際にいろいろな場面を作りながら繰り返し練習します。基本的な挨拶はやはり「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」『ありがとうございます」「ごめんなさい」「どういたしまして」などですね。
昨日、日本語の授業に日本人と結婚したチュニジアの若者が来ました。アラビア語、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語ができます。マレー語も少しできます。しかし、日本語で知っている言葉は「ありがとう」だけです。彼は「たとえば」を自ら連発して、瞬く間に初対面の挨拶のときの会話も、自己紹介も、さまざまな場面での「ください」を使った依頼表現もかなり自然な日本語でできるようになりました。
ところが、上記の基本的な挨拶に入ったとたん、教師たちの挨拶の実演を見た後、棒立ちになって突然英語でまくしたてました。
「挨拶の言葉は言ってもよいが、おじぎは絶対にしない。我々が頭を下げるのは神に対してだけだから。」
というのです。皆さんはこのようなときどうなさいますか。「日本の習慣だから」と押し切りますか。
でもこれは宗教の問題なので、OJCでは強制しません。
その後非常にスムーズに進み、最後に「ありがとうございました。また来週お願いします」ときちんと日本語で挨拶してニコニコとかえっていきました。
一瞬緊張しましたが、幸先のよい新学期のスタートでした。
異文化理解や、文法の教え方等、ここで読者の皆さんとともに考えていきたいと思います。
浦上
投稿者 uragami : 2005年04月10日 16:11